2023年9月7日木曜日

4_179 西予紀行 6:須崎海岸

 サバティカルのうちに訪れたいと思っていたところに須崎海岸があります。四国西予ジオパークを象徴する露頭がある海岸です。しかし、危険で立入禁止となっています。許可と準備を経てやっと立ち入ることができました。


 8月下旬の晴れた日、三瓶町の須崎海岸にいきました。暑い日でしたが、撮影に適した晴れでした。須崎海岸は四国西予ジオパークの目玉になるような露頭のある海岸です。須崎観音の駐車場から、長い階段を降りて、海岸沿いの歩道を歩けばたどり着けます。
 ところが、2020年7月の大雨による土砂崩れで、歩道が通れなくなりました。その後も、大雨が降ると崩れているため、現在、立入禁止となっています。
 ジオパークの許可をもらい、調査のために入りました。地すべりのところは海岸の磯に降りて迂回して、再度歩道に上がっていきました。地すべりのところ以外は、歩道もしっかりとしていたので、いい海岸の散策路になると思えました。
 この海岸の露頭は、黒瀬川構造帯の地層がでているところです。陸地で噴火した火山灰が海底に堆積したものです。火山角礫岩、酸性凝灰岩、貫入岩など陸地の火山活動が近くの起こっていました。凝灰岩が何層も連なっているのですが、級化構造があることから、海底に流れ込んだタービダイト流だと考えられています。また保存状態の良い放散虫化石もあることから、海で堆積したこともわかります。
 凝灰岩を不整合で覆う凝灰角礫岩の中から、4億年前のハチノスサンゴの化石が見つかっています。凝灰角礫岩層は不揃い(淘汰が悪いといいます)な礫からできているため、海底地すべりのような崩壊してできた堆積物だと考えられます。
 黒瀬川構造帯は、城川付近に典型的で広く分布している地層なのですが、西の延長がいったん途切れます。それが、この須崎海岸で再び出ています。しかし、その先は豊後海峡になって露頭は途切れます。
 須崎海岸の露頭は、直立した地層からできた切り立った崖は、迫力満点です。また、海岸に2本の塔のような露頭もあります。海岸沿いでアプローチもよく、風化が少なく、露頭の表面もきれいに見ることができるはずのところです。ジオサイトとにも指定されているのですが、なんとか見学できるようにできることを願っています。

・立ち入り禁止・
ジオパークの関係者に、
以前から須崎海岸の様子がどうなっているのか見たい、
露頭を撮影したいといっていました。
しかし、立ち入り禁止のところに、
入っていくことになるので、
公的に入っていることを示すために、
腕章やヘルメットをお願いしていました。
先日、腕章もヘルメットもできたので
借りてやっと入ることができました。
幸い天気に恵まれて、
黒瀬川構造帯の大露頭にたどり着くことができました。
地すべりしているところを見ると、
今後も大雨などがあると、
地すべりが発生してもおかしくないところのようです。
ジオパークでも定期的にドローン調査を依頼して、
状況確認をしています。
現状での通行は危険なので、
迂回路や網などの対策が不可欠です。
予算も調査も必要になるので、すぐには無理でも
そのうち対策されることを願っています。

・奇遇の連続・
海岸の歩道から284段の階段を大汗をかいて登って、
ヘトヘトになり駐車場につきました。
すると、業者の方がおられたので話をしました。
ジオパークの依頼を受けて、地すべりを、
ドローン調査をしていたのことです。
私も写っているかと思ったのですが、
階段を登っている頃のようで気づかかったそうです。
二人のインターシップに来てもらっている学生さんも一緒でした。
外国の学生さんがいたので話をしたら、
大学の友人のところに来ている学生さんでした。
思わぬ出会いに驚きました。
宇和にもどって昼食を摂ろうとしたら
そこでも合うことになりました。
奇遇の連続でした。