2023年6月1日木曜日

4_176 西予紀行 3:明浜の石灰岩

 明浜にいってきました。好天で暑いくらいの日でした。三瓶まで回ろうかと思っていたですが、予想以上に時間がかかったので、今回は明浜だけを巡りました。



 西予市は四国山地の西はずれに位置する四国カルストのある野村から、肱川上流の宇和盆地、そして野村と宇和の間にある城川、さらに豊後水道に面するリアス式海岸の明浜と三瓶があります。地形や気候の変化に富んだところです。現在住んでいるのは、山地の城川の土居という集落に住んでいます。
 5月のはじめに、海沿いの明浜を訪れました。宇和から野福峠に出ると、リアス式海岸を眺めることできます。入り組んだ海岸を利用した漁業が盛んなところで、イカダをつかって真珠などの養殖もされています。
 真珠の作業場を見ようと思って立ち寄ってみたのですが、見学はできませんでした。その会社は、貝の洗浄を社員総出でやっている日でした。しかし、作業場だけは少し見せてもらい、社長の名刺もいただきました。見学や体験を希望するときは、事前に予約してくださいとのことでした。残念でしたが、調べると、予約は3名からとなっていました。もともと無理だったのかもしれません。
 明浜では、斜面が多く険しいところですが、農業も営まれています。段々畑になっていますが、石垣は石灰岩を用いてなされています。植えられているのは柑橘類です。狩浜は段々畑の景観が名所で、国の重要文化的景観ともなっています。葉の緑、石垣の石灰岩の白のコントラストがきれいな色合いとなっていました。この時期はミカンの実はなっていませんでした。秋ならミカンの黄色が加わって、にぎやかな彩りになります。
 段々畑は、もともとは稲作をしていましたが、明治には養蚕のための桑を栽培するようになりました。昭和30年代には柑橘に切り替えていったようです。今では柑橘の栽培が中心となっています。柑橘の栽培には、水はけのいい斜面で、石灰による栄養供給と中和機能が役立ち、海から潮風などがあり、この地が適していたようです。
 石垣の石灰岩は、秩父帯南帯のものです。石灰岩より少し北側には層状チャートもあります。海岸沿いが険しい傾斜になっているのは、ひとつには石灰岩やチャートなどの険しい地形を作りやすい岩石が斜面の上部にあるためです。しかし、ここには大きな断層(仏像構造線と呼ばれています)が通っていることが大きな原因です。
 仏像構造線は、秩父帯と四万十帯の境界に当たるところで、大きな地層境界になっています。四万十帯側が落ち込んでいるため、海側に険しい地形となっています。海岸で少しだけ四万十帯の地層が見ることができます。
 リアス式海岸沿いに道はくねくねしていて、また狭いところも多く、通るのに時間がかかります。今度は三瓶も訪れたいと思っています。

・石灰岩・
この地には海岸近くに石灰岩があります。
昔から明浜では石灰岩を利用して
石灰を生産していました。
その鉱山や窯がジオサイトで展示されています。
江戸時代後期から生産していたようです。
海の近くなので輸送には有利だったのでしょうか。
こんら埋もれた歴史も
ジオパークのサイトに指定されることで
掘り起こされていきます。

・真珠・
真珠の養殖には、リシアス式海岸のような
入り組んだ海岸で波の穏やかな地形が有利です。
似たような地形は、四国西岸に連続的に続いています。
宇和島から愛南までは、
真珠の養殖で有名なところです。
転々とイカダがあり、
その多くで真珠の養殖がされています。
家内にも真珠のひとつも贈れればいいのですが。