2022年12月15日木曜日

3_207 下部マントルの鉱物 4:ブリッジマナイト

 隕石内の衝突の痕跡で、高温高圧状態の鉱物がみつかりました。以前に見つかっていた同じ鉱物とは、化学的特徴がかなり異なっていました。その違いは何を意味するのでしょうか。


 隕石から、再びブリッジマナイトが見つかったという報告がありました。2021年10月に、PNAS(米国科学アカデミー紀要)に
Natural Fe-bearing Aluminous Bridgmanite in the Katol L6 chondrite
(カトールL6コンドライトから天然の鉄を含むアルミニウム・ブリッジマナイト)
という論文が掲載されました。カトール(Katol)という変成をうけた普通コンドライト(L6に分類されるよく見つかる隕石)から、高温高圧条件でできる鉱物であるブリッジマナイトを発見したという報告です。発見自体は、前回紹介したように、別の2種の隕石から見つかっており、鉱物となり、命名もされました。別の隕石ですが、再度、同じ鉱物を報告するということは、新知見があったからです。鉄を含み、アルミニウムに富むブリッジマナイトというべき特徴を持っていたことが、新しい発見となります。
 カトール隕石でブリッジマナイトが見つかったのは、衝突で岩石がいったん溶けて固まった部分でした。衝撃によって発生した高温高圧条件(約23〜25GPa)で、瞬間的ですが岩石(母天体と隕石)が融けてマグマができ、再度岩石として固まったという場が想定されます。
 最初に見つかったブリッジマナイトは、頑火輝石(エンスタタイト)の組成((Mg、Fe)SiO3という構造式)の鉱物が、高温高圧条件でペロブスカイト構造になったものです。
 今回見つかったのは、論文のタイトルのように鉄とアルミニウムを含んだブリッジマナイトでした。以前に見つかったものもマグネシウムも含んでいるのですが、カトール隕石のものは、鉄とマグネシウムの比率も違っています。
 ブリッジマナイトの他にも、メージャライト(majorite)と硫化鉄も一緒に形成されています。鉄(Fe3+)の比率(Fe3+/ΣFe = 0.69 ± 0.08)が共存するメージャライト(0.37 ± 0.10)とは違っているのですが、これは合成実験の結果と一致しています。
 なによりも、アルミニウムを含んでいることが、大きな違いとなっており、新知見となります。アルミニウムを含むことが、どのような意味をもつのでしょうか。次回としましょう。

・大雪・
北海道は先週はじめから、寒波の来襲しました。
各地でも大雪になってのですが、
わが町でも今シーズン、はじめての大雪となりました。
前日に激しい降雪でしたが、翌日は晴れました。
わが町で、はじめて除雪車が入りました。
いよいよ冬本番となりました。
私は完全に厳冬期仕様の装いとなっています。

・前泊・
このエッセイは前週末に予約配信しています。
月曜日に校務があり、
車で出張することになっていました。
先週同じ地域に出張された先生の話しによると
高速道路がアイスバーンになっており
50km/h制限となっていて、夏より1時間以上も、
時間がかかるとのことです。
朝から校務があるので、
急遽、前泊することにしました。
そのため、日曜日の午後からでかけます。
幸い宿も取れたので、時間を使ってしまいますが、
重要な校務を優先することにしました。
卒業研究も一段落したので、のんびりしてきます。