2021年11月18日木曜日

5_182 酸素と自転 3:酸素の形成

 今回は、大気中の酸素の形成、形成の仕組、量の変化をどう捉えるかを、みていきましょう。酸素の形成や変化は、過去の地層や化石から探っていくことになります。


 地球の創成時代の大気には酸素がなく、二酸化炭素を中心とした大気であることがわかってきました。現在は、酸素を20%含む大気になっています。その酸素の形成の仕組みと、変化の様子を考えていかなければなりません。
 現在の地球で、酸素は光合成をする植物がつくっています。陸上の森林や草原の植物だけでなく、海の植物性プランクトンが、大量に酸素を作り出しています。現在の酸素は、生物の光合成よって作り出されているもので賄われていることがわかっています。
 植物が地球の大気中のすべての酸素をつくりだしたのでしょうか。もしそうなら、いつ頃はじまり、どのような変化をしてきたのでしょうか。
 昔は、地球の酸素は、太陽の光分解で酸化物からできたのではないかと考えられてきましたが、もしそうなら同じような原始の大気をもっていた金星や火星でも、酸素のある大気をもつことになります。しかし、そのような証拠は見つかりませんでした。
 光合成をした微生物が誕生したときから、酸素がつくられはじめたとされてきました。光合成とは、複雑な組織で複雑な仕組みで起こるものです。地球最初の生物はもっていなかったはずです。ある程度進化した生物で光合成が起こったはずです。
 光合成を最初におこなった生物の化石は、32億年前頃のものに候補があるのですが、まだ決着を見ていない状態です。確実に酸素を、それも大量に生産した証拠は、25億から20億年前頃の地層に見つかっています。丸い同心円状の特徴的な構造をもった岩石が、世界各地に大量に見つかっています。ストロマトライトと呼ばれています。
 現在にもストロマトライトをつくっている生物が、西オーストラリアのハメリンプールの海岸にかろうじて生き残っています。この生物はシアノバクテリアと呼ばれ、光合成をしていることがわかっています。最初の光合成生物は、まだわかっていませんが、25億から20億年前に見つかっている大量のストロマトライトの地層から、その時期から大量の酸素が形成されたと推定されます。
 また、同じ頃に、縞状鉄鉱層と呼ばれる地層も大量に形成されています。縞状鉄鉱層は、海底に堆積した堆積岩ですが、酸化鉄を大量に含んだ地層です。酸素がない原始地球では、海洋に大量の鉄が酸化されることなく溶けていました。シアノバクテリアが酸素を量産すると、海の中では鉄が酸化され沈殿していきます。地球の全海洋で、鉄の酸化作用が起こったと考えらます。この時沈殿したものが、現在の鉄鉱の原料となっています。
 鉄の酸化が終わると、酸素は大気中に放出されるようになります。大気中に酸素が加わっていくと、地表の酸化が起こります。20億年前以降、鉄の酸化物を含んだ赤色砂岩が見つかってきます。この赤色は鉄が酸化した色です。これも大気中に酸素がずっとあった証拠となります。
 他にもイオウ鉱物やウラン鉱物などから、ある時代の酸素濃度が推定されています。このようないくつかの時代で酸素濃度を手がかりに、シミュレーションによって、大気中の酸素の濃度変化が推定されています。
 ここまで酸素の形成、量産、濃度変化を推定する方法を見てきました。次は自転の変化を見ていきましょう。

・見る側の気持ち・
古い時代のストロマトライトの地層は、
カナダ、アメリカ、中国などで見ていますが、
現在生きているストロマトライトを見に、
西オーストラリアのハメリンプールへは2度いきました。
一度目は満潮時で水中にある状態でした。
これが非常に残念だったので、
2度目は干潮に合わせて見学にいきました。
そこまでして見学したものは、強く印象に残ります。
同じものでも、見る側の気持ちが変わると
まったく違って見えてきますね。

・校務出張・
今週は校務出張で数日でかけます。
そのため、このエッセイも
出張の合間をぬって書いて予約配信しています。
月曜日にはミゾレ混じりの雨の中を出張しました。
そろそろ里でも雪になりそうなので、
峠越えが心配になってきました。
しかし、高速道路で越える予定なので
もっとも除雪が早いところとなるはずです。
心配してもしたがありませんが、
積もったら慎重に運転していくだけです。