2021年7月15日木曜日

2_193 LUCA 2:熱水噴出孔

 地球上で生物を生み出すためには、多様な化学反応が必要になります。なおかつ、合成のために反応物が素材として安定供給され、生物が合成されるために、多数の試行錯誤ができる条件も必要です。それはどこでしょうか。


 最初の生物は、LUCA(最終共通祖先)以外にも、いくつかの呼び方をされていました。最近ではLUCAと呼ばれることが多いのですが、以前はコモノートと呼ばれていました。同じ祖先という生物になるはずなのですが、概念が少し違っています。

 現在の生物でもっとも原始的な生物である古細菌のうち、好熱性古細菌のDNAが環状になっていることがわかりました。環状DNAは、真正細菌も持っているものもいることがわかりました。各分類体系のもっとも原始的だと考えられる生物が、環状DNAをもっていました。そこで、古細菌と真正細菌の共通する祖先を「コモノート」と呼びました。一方、LUCAは、真核生物も含めてすべての生物の祖先として、細菌や古細菌、真核生物の共通の祖先と考えたものです。

 これまでの研究から、もっとも原始的な生物に共通する性質は、現在の生物と比べれば、高温の条件で生育し、遺伝子の数は少なく、DNAも小さいと考えられます。

 ここで高温とは、45℃以上、時には80℃以上を意味します。このような生物の性質を好熱性と呼びます。80℃以上などは、身近なの生物では、高温すぎて生きていけないものが多くなります。ところが、好熱性生物においては、そのような高温条件で、代謝などの生存のために必要な化学反応が、活発に起こることを示しています。

 陸地や浅海では、多様な環境があり、多様な化学反応が起こるので、生物の材料になる多様な反応物ができやすくなります。生物が誕生し、増殖するためには、反応物が継続的に形成され、生物合成のために安定した環境も必要になります。古い時代の地球で、陸地や浅海の環境は、変動が激しく不安定であったと考えられます。そのため、生物の誕生と進化には、適していなかったと考えられます。

 このような条件を満たす環境は、熱水噴出の場が想定されています。現在の海洋の海嶺や火山島などでは、熱水が噴出が活発に起こっています。原始の地球は、地球内部には現在より熱が多くあったので、もっと活発な火山活動が起こっていたはずです。海底での熱水噴出の活動で多数起こっていたと考えられます。深海底の熱水噴出孔は、当時も現在も、地球ではもっとも安定した環境でもあったはずです。

 熱水噴出孔であれば、化学が起こり、その反応物を使って生物ができ、進化できるための時間もあったと考えられます。そこで生まれたのがLUCAとなります。LUCAは深海の熱水噴出孔がもっとも大きな可能性があると考えられてきました。


・線状降雨帯・

当初、雨があまり降らない梅雨でしたが、

最近は、本州も梅雨前線の活動が激しく

洪水被害も各地で起こっています。

今年は、北海道の涼しい天候が続いています。

線状降雨帯は最近聞くようになりました。

降雨レーダーなどの観測技術の発達により

これまであった現象をより正確に捉えられるようになりました。

それによって多くの人命が救われることになっています。

COVID-19でも同様に最新科学の情報を

科学的判断として活かして欲しいものです。

政治家の政治的判断で失われた命はどうなるのでしょうか。


・無事が一番・

明日から3日間、野外調査にでます。

久しぶりの野外調査になります。

昨年はまったく調査に出ることができませんでした。

今回は少し新しい露頭を探して調査しますが、

多くは以前にも行ったことのある露頭です。

ある程度様子がわかっているところが多いので、

大丈夫だと思います。

コロナ自粛で動き回ることもままならず

体力も落ちているはずです。

無理をせず、怪我をせずに

無事に終えることを最優先しましょう。