2020年3月12日木曜日

2_176 真核生物の誕生 1:古細菌

 前回の「グアダルピアン世末の絶滅」に続いて、「生命の歴史」のシリーズが続きます。今回は1月に報告されたものを紹介しましょう。生物のある分類群のできかたが、実験からわかってきたというものでした。

 2020年1月15日付けのイギリスの一流の科学雑誌「Nature」に海洋研究開発機構の井町寛之さん、Masaru K. Nobuさん、および共同研究者の人たちの論文が、掲載されました。その論文タイトルは、
 Isolation of an archaeon at the prokaryote-eukaryote interface
 (原核生物と真核生物の境界に位置するアーキアの分離)
というものでした。このタイトルだけでは、その意味するところがよくわかりません。今回のシリーズはこの内容を、紹介していきましょう。
 この論文は、生物進化の重要な手がかりを見つたという報告でした。少々複雑な内容なので、順を追って説明してきましょう。
 まずは、生物の大きな分類からはじめましょう。生物の一番大きな分類体系は、5つの界(モネラ界、原生生物界、菌界、動物界、植物界)に分けられていたのですが、現在では3つのドメイン(domain)に分けられています。生物の分類体系の大枠が、5界から3ドメインに変わったことから、紹介してきます。
 5界の分類の特徴を見てきましょう。モネラ界は、細胞内に核(DNAが集められて収まっている組織のこと)を持たない原核生物(DNAが細胞内に分散している)で、細菌類とシアノバクテリア類が入っています。原生生物界は、核を持つ(真核生物)、いろいろな単細胞生物のグループです。アメーバーやゾウリムシなどです。菌界は、真核生物で複数の細胞からできていて(多細胞生物)、光合成をおこなわない生物で植物と似た細胞壁を持っています。キノコ類などで、他の生物などを分解していきます(分解者)。植物界は、細胞壁を持ち、光合成をして自分で栄養がつくれ(独立栄養生物)、生産者となります。動物界は、細胞壁を持たず、光合成もしません。他の生物や栄養を摂取します(従属栄養生物)。
 この5界分類は、古細菌が見つかるまで利用されたものです。古細菌が見つかってからは、3つのドメイン(domain)の分類が使われるようになりました。つまり、古細菌の発見が、新たな分類体系を生み出す契機となりました。古細菌は、「細菌」という名称がついていますが、細菌とは系統的にまったく異なった分類になります。遺伝子的にも生態的にも異なっています。例えば、高塩分濃度や強酸性、強アルカリ性、高温、無酸素など、他の生物があまり住めない環境に住んでいます。遺伝子の系統の解析から、古細菌は、モネラと真核生物の間に位置することもわかってきました。
 このような古細菌の特徴がわかってきたため、分類体系が見直されることになりました。その結果、古細菌があまりに異質なために、モネラ、古細菌、真核生物に分ける方が適切で、それを界より上の「ドメイン」という体系に変更することになりました。
 古細菌は、英語でarchaea(アーキア)です。この論文に使われているアーキアとは、古細菌のことでした。古細菌が、原核生物と真核生物の間に位置しているという当たり前のこと述べていきます。ただし、そこに「アーキアの分離」という言葉がついています。これは、古細菌にかなり重要な特徴を持ったものが見つかったというのが、今回のタイトルの意味となります。詳しくは次回以降にしましょう。

・新型コロナウイルス・
メディアは新型コロナウイルスばかりです。
私はあまりテレビのニュースは見なくなっています。
ワイドショーは新型コロナウイルスの
ニュースばかりのようですね。
北海道では多くの発病者がいます。
新型コロナウイルスの流行により、
大学は、すべての行事がストップし、
3月25日まで部外者の入構禁止になりました。
学位記授与式(卒業式)も集中講義なども
中止延期となりました。
入学式もガイダンスなども中止になりそうです。
教職員は大学に来ています。
どうしても事務的に
処理しなければならないことがいろいろあるので、
会議は通常通り行われています。
本来なら集まらずに処理できればいいのですが。

・区切り・
大学4年生は、学位記授与式も中止、
卒業祝賀会なども中止となっています。
教員と学生が会う場もなくなりました。
非常に残念ですね。
でも、卒業生は4月から新しい職場に転身します。
学位授与式は4年間の総まとめであり、
社会にでるための最後の区切りとなるものです。
4年生自身が社会にでるための
切り替えの儀式でもあります。
しかし、4月の入社式や入学式も
中止になっていきそうなので
始まりの区切りもなさそうですね。