2020年2月6日木曜日

2_171 グアダルピアン世末の絶滅 1:不在の証明

 生物の進化は化石で探るしかありません。しかし、化石から、進化が起こったことを検証するのは、難しいものです。化石の不在からわかることがあります。それは種の絶滅です。絶滅は大きいほど、その確かさが増していきます。

 過去から現在までの生物の進化は、化石の変化をみることで調べていきます。当然、化石が少ない、あるいはない時代では、進化をとらえるのが難しくなります。進化がよくわかるのは、化石が「たくさん」残されてくるカンブリア紀以降、いわゆる「顕生代」になってからです。
 では、「たくさん」残された化石から、生物の進化をどのように探るのでしょうか。そこには科学的な信頼性はあるのでしょうか。まずは、生物の種に注目して、考えていきましょう。
 連続した地層があり、そこからはアンモナイトの多様な種の化石が多産するとします。ある化石種Aに注目しましょう。そのAは、ある地層 H1 より上(新しい時代)の地層からは、見つからなくなったとしましょう。その地層 H1 の直上の地層 H2 から、その種に似ていますが、少し異なった化石Bが見つかり出したとしましょう。
 これらの情報から、化石種Aは、H1 の時代には見つからないということですから、多分、絶滅したと考えられます。ただし、正確にその時代かどうかはわかりませんが、その以降見つからないということは、その地層が形成された時代頃に絶滅したと考えていいでしょう。
 種Bは、絶滅した種Aに似ていることから、Aから新たに生まれた新種として誕生し、Aに取って代わる、種の交代が起こったと考えます。もちろん、古生物学者は、その「似ている」ことを客観的に示すために、いろいろな特徴を観察、計測し、統計処理をしながら、客観性を高めていくことになります。このような化石から得られた情報から、個々の種に関して生物進化を考えていくわけです。
 しかし、論理的には、種Aが別の種Bに変化したかどうかは、検証できません。なぜなら、過去の事象を起こった時代に遡って(出向いて)調べることができません。また、実際に進化という現象を見ることも難しいでしょう。したがって、可能性の大きなものとして、AからBへの進化と考えるのが妥当とだということになります。このような個々の妥当性の事例を多数集めることで、アンモナイトの大きなグループの進化、そして頭足類、動物、生物などの進化を推定していくことになります。しかし、それはあくまでも可能性を高めるだけであって、検証できるわけではありません。
 ここまでの話で確かなことがあります。A種の H2 以降の層準での欠如は、その時代以降での種数の激減、あるいは絶滅を意味している点です。不在の証明はなかなか難しいですが、その層準で多数の種が欠如、あるいは化石の激減していれば、多数の種の絶滅、異変があったことがわかります。絶滅が大きければ大きいほど、大きな異変となります。
 皮肉なことですが、生物にとっての大惨事ほど、信憑性が高まります。大絶滅の認定は、かなり確からしくなります。ただし、何が起こったかは、別の問題ですが。

・大学入試・
大学入試がはじまりました。
大学の講義も終わり、定期試験、成績評価も一段落です。
大学は、卒業生や進級という区切りが進行し
新入生を迎えるための準備も平行して進む時期です。
教員は、授業はないので時間に余裕ができますが、
校務がいろいろ入り、ばたばたする時期でもあります。
校務の合間の時間で、研究を進めていきたいと思っています。

・コロナウイルス・
新型コロナウイルスに関する情報は
日々刻々変化しています。
このエッセイを書いている時点で
内閣府(厚生労働省)の発表(1/31現在)によると、
世界中で感染者合計は9800人で、
内、死亡者は212人となっています。
致死率は2%程度で、高くなさそうです。
ですが、潜伏期間が長いこと、
感染力が強いことが心配です。
札幌では、雪まつりの真っ最中です。
自衛としては、不要不急の人混みへは、
極力出かけないことでしょうか。