2019年9月12日木曜日

3_183 北磁極の移動 4:地磁気の逆転

 内核の対流が不安定であることが、ここ100年ほどの間に徐々にわかってきました。逆転では、日本の科学者の先駆的な業績がありました。逆転は、プレートテクトニクスの重要な証拠ともなりました。

 地球の地磁気は、内核の液体鉄の対流が起こり、磁気が発生する地球ダイナモ説で説明できることを、前回、紹介しました。液体鉄の対流は、内核の熱分布や地球の自転などが原因だと考えられています。内核の熱分布は、核の化学組成のムラやマントルの対流(プルームテクニクス)による影響を受けることになるでしょう。また、地球の自転は、大陸配置や衛星の月の運動、公転や歳差運動などの影響を受けそうです。特に、地殻からマントルまでの大きな対流となるプルームテクトニクスは、内核の対流に大きな影響を与えそうです。
 内核の対流は、液体の運動によるため安定したものではなく、地磁気も不安定になります。そのような証拠が、100年ほどかけて、見つかってきました。
 マグマは地表付近で、液体(マグマ)から固体(結晶)になります。その時、磁気が岩石に記録されます。火成岩の残された磁気を測定する技術が開発されました。岩石に残された磁気は、残留磁気と呼びます。岩石の磁気の記録は、磁性をもった結晶(磁性鉱物)ができるとき、その時点での地磁気の方向に沿って並び、固まっていきます。岩石の残留磁気気を調べると、マグマが固まった時の地磁気を読み取ることができます。このような岩石に残された昔の磁気は、古地磁気と呼んでいます。
 京都大学の松山基範(まつやま もとのり)さんが、玄武岩(兵庫県玄武洞)の古地磁気を調べたところ、地磁気が反転していることがわかり、1929年に報告しました。これは磁気が反転しているということを初めて検証したものです。玄武洞の玄武岩は、約160万年前のマグマが固まったものです。この磁気が反転していた時期は、もっと長く(249万~72万年前)、後に「松山逆磁極期」と呼ばれるようになりました。この研究以降、地球の磁気が何度も反転していることが判明してきました。
 磁気が繰り返し反転していることを利用して、大きな成果も出てきました。
 海嶺ではマグマが貫入し、噴出して、海洋底が拡大しています。これがプレートテクトニクスの重要な原理となっています。海洋底の玄武岩には、古地磁気が記録されているはずです。海洋底の残留磁気を、船から精密に観測する技術が開発されました。その技術によって、海嶺に対称的な古地磁気の正逆の模様があることが観測されました。その観測事実は、海嶺でマグマが形成され、拡大していることの重要な証拠となりました。
 繰り返される地磁気の反転は、地磁気が不安定であることを表しています。地磁気の不安定さは、内核の対流も不安定だと推測させます。この不安定さは、過去だけから、現在そして未来にも続きそうです。

・松山基範・
松山さんの報告は、1929年におこなわれましたが、
世界の学界では、その重要性が
ほとんど理解されていませんでした。
1950年代になると古地磁気学が発展したことで、
松山さんの地磁気の逆転が正しいことが認識されてきました。
先見性があったのでしょう。
この松山さんの功績から「松山逆磁極期」と命名されています。
この逆転は、最新のもの(最後の逆転)となっています。

・家族集合・
現在、京都に帰省しています。
子どもたちはふたりとも関西にいるので、
帰省がバラバラになっています。
今回は夫婦で母の実家に帰るので、
子どもたちも集まって来るようにしています。
彼らの忙しいようで、スケジュールがありません。
さてさて一堂に会することは可能でしょうか。
なかなか難しいようですが、
いってみるまでわかりません。