2018年12月13日木曜日

2_164 絶滅からの復活 2:生態系の回復

 K-Pg境界の大絶滅は、絶滅のシナリオについての議論は多くあるのですが、生態系の回復過程については、あまり多くは語られていません。今回の報告は、生態系の回復についての報告となっています。

 K-Pg境界の大絶滅については、このエッセイもで、何度か紹介したことがありました。今回のエッセイは、その後の生態系の回復についての報告の紹介でした。
 生物の絶滅、それも大絶滅を起こすには、ある一定の期間、異変が継続する必要があるはずです。動物だけでなく、植物も大絶滅しています。植物は種子で少々の期間であれば環境異変をやりすごすことができます。すぐに異変が終わり、環境が復元すれば、種子が発芽できるので回復できてしまいます。ですから、多くの植物種までも大絶滅するには、種子も発芽できずに、死に絶えるような影響が、一定期間継続している必要があります。
 原因となる衝突は一瞬のできごとでしたから、そこから引き続き起こされた現象が、継続したり連鎖したりするような絶滅シシナリオが必要になります。多くのシナリオでは、そのような長期の影響を想定していました。
 さて、絶滅からの生態系の回復は、地域によって差が生じたと考えられていました。特にグランド・ゼロ周辺では、生態系の回復も遅れたと考えられています。なぜなら、激しい衝突で発生した熱によって、大規模な熱水活動も起こり、重金属などの有害成分が海洋中への大量に放出されました。それに、なんといっても、直接、生態系が完全に破壊されたため、回復が遅れたと考えられています。
 隕石衝突のグランド・ゼロでは、直径200kmほどのクレーターができました。生態系の完全な壊滅によって、クレーター内では特に生態系の回復が遅れたと考えられています。クレーター内でもとのような生態系が回復するには、30万年ほどの期間が必要だったとされています。
 今回の報告は、生態系の回復に新しい解釈を示したものでした。その対象とした地域がグランド・ゼロ地点でした。もし、グランド・ゼロでの回復期間が推定できれば、他の地域では、それよりもっと早く回復したと考えられます。
 今回の報告は、グランド・ゼロでの地質調査に基づくものです。衝突地点は、海なので、国際深海科学掘削計画(IODP)で海底のボーリングがなされました。メキシコのユカタン半島北部の沖あいで、800mのコアが掘られました。そこから、K-Pg境界をまたいで1mのコアを詳しく調べられました。コアのデータから、生物の回復を期間を探ろうというものでした。K-Pg境界の衝突の堆積物は、ほんの数mmでした。そしてそれより上の数日から数年分の堆積物から、海底環境の変化を探ることになりました。その詳細は、次回としましょう。

・厳冬期仕様・
北海道では、何度かの寒波の襲来がありました。
間に非常に暖かい時期もありましたが、
大雪が降って、真っ白な冬景色になりました。
何度か除雪も入りました。
私も完全な厳冬期仕様になっています。
今年は、少々、遅めの白銀の世界でしたが、
北海道らしい冬到来となりました。

・来年に向けて・
大学は来週でレギュラーの講義が終わり、
それ以降は補講の期間、そして冬休みとなります。
推薦入試も終わり
1月のセンター試験と一般入試に向けて
ちゃくちゃくと準備が進んでいます。
もちろん試験を実施する大学では
教職員ともども、その準備が行われていきます。
師走ですが、来年に向けて準備が進んでいます。